秋の空気になってきた。
今の時期だけ金曜日が1限のみという時間割だから、10時半ごろに7号館401教室から出て、フラ〜と世界堂の中を歩いた。芸術祭で販売する予定のステッカーとポストカードをどうするか考えながら店内をぶらぶらする。知っている顔に出会う。彼もまた課題のために何かを欲していたようで店内をフラ〜と歩いていた。
フラ〜と、世界堂から出て2階の食堂に入る。まだ11時じゃないので販売は始まっていないが今日のランチは何かなと横目にガランとしているテーブルの一つに腰をかける。元彼(と、言いたくないがネタにしているので元彼と呼ばせてもらう)がノートパソコンと向かい合ってヘッドホンをしている。いつだか前の金曜日もそうやって1人でノートパソコンとにらめっこしてヘッドホンをして何かしていた。曲編集だろうか。新曲を着々と作ってライブのことを考え、常に新しい何かを求め、禁断の果実に向かい合っている。そんなオレンジマンを横目に私は久しぶりにクロッキーブックを開いた。
芸術祭に向けて今後何をするべきか、改めて整理した。販売する漫画のことだけで頭がいっぱいだったが、やるべきことは思いの外たくさんある。展示用のイラストが五枚ほど。そのうちの二枚は漫画の原画の予定でこの度販売する漫画の中から抜粋しようと思っていたが、展示テーマの「夢」からかけ離れてしまう。「夢」のようなキラキラ要素は今描いている漫画にはない・・・新規描き下ろしにすることにした。あとはグッズのデザイン、ステッカーとポストカードを予定・・・果たして需要があるのだろうか?という疑問は置いておき、とにかく作りたいものをまず形にしようと思う。時間はあるようでない。
そんなメモのようなものをクロッキーブックに書きつけ、飲みかけのミルクティーを飲み干して食堂を後にした。オレンジマンはその間ずっとヘッドホンをしてパソコンに向かい合っていた。のちに(もう)ゲリラ(でもない)ライブをするんだろうなとぼんやり思いつつ、秋晴れの空の下、私はスーパーに向かった。
平日昼のスーパーはやはり空いている、ご婦人ばかりで私のような大学生らしき人は誰一人いない。こんな時間からスーパーにいる学生は少ないだろう。そりゃあ。
昼食は一限の民俗学のときに食べたくなった蕎麦を茹でた。茹でている4分半の間ずっとIHの前から離れなかったというのにお湯が吹きこぼれてちょっと面倒なことになった。見ていたにも関わらず溢れてから気がつくアホっぷり。たっぷりと刻みネギと天かすをかけていただいた。
15時から歯医者で定期検診の予約を入れていたため、それまでの時間、課題のアニメーションの中割りと言われる原画の間に入る線画を二枚描いて(連続テレビ小説『なつぞら』のヒロインなつがいかに凄いか身を以て感じている・・・。)、現在とっている授業のレポートを途中まで書いた。続きはこの記事ができたら書こうと思う。「音響文化研究」という授業なのだが、なかなか面白い。「音」に関する授業はデ情にいるなら一つくらい取りたいと思っていたのでとってみたが先生はとても優しいし面白いし、私の耳に対する神経の研ぎ澄まし方がその授業のおかげで変わっている気がした。学校に行く途中で電車や鈴虫のなく音を拾おうとしている自分が現れたのだ。今もこの文章をタイピングしている音、iTunesで流している星野源の曲、外から聞こえてくる風の音、鈴虫の鳴き声が耳に入ってくる。「秋」の音だ。
14時半ごろに部屋を出る、近所の家の前でインターホンに話しかけているご婦人2人組を見かけた。おそらくどこかの宗教か何かの人たちであろう。平日の真昼間にまわっているのか。学校に行っているので気がつかないだけで自分の部屋のインターホンも知らぬ間に押しているのだろうかと考えたらちょっとゾッとしてしまった。いたとしても出ないけど。
15時ちょっと前に歯医者につく。鷹の台はなぜか歯医者が多い。至近距離に4軒くらい歯医者がある。どこにしようか迷ったがバイトしていた某チェーン店に近いという理由でこちらでお世話になる歯医者を選んだ。先生はいい人そうだし看護師さんもいい人そうなのでよかった。相変わらず歯磨きの仕方はあれこれ言われてしまうのだが。「歯並び綺麗だから、今のうちから大事にね」なんて言ってくれるもんだから頑張ろうって思う。ずっと地元で矯正治療していた甲斐があった。歯並びが綺麗だと笑いやすくなる。
30分ほどで検診は終了。まだ15時半だからこのまま国分寺に行ってしまおうということで西武線に乗る。階段から鳥の鳴き声が聞こえる。これがサイン音だと知ったのはついこの前の音響文化研究の授業でのことだった。
国分寺に5分ほどで到着。学生が多い。友人に渡す誕生日プレゼントを探しにセレオのなかに入る。秋物の服が目に入る、ふとこの前傘を購入した雑貨屋をみると可愛い帽子が。ちょっと安くなっていてほしいなと思ったが今日の目的は誕プレなので思いとどまった。とか言っておいて、紀伊国屋書店で星野源の『よみがえる変態』というエッセイの文庫版を悩まず購入。さっきあれほど悩んでいた帽子がなんだったんだという速さでの購入である。友人への誕プレを買う前に手を伸ばしてレジまで運んでいた。
星野源の文章は読みやすくて好きだ。去年の7月一人で立川のジョナサンで『そして生活はつづく』を読んでいたことを思い出した。ドラマやCMや舞台、ドーム、アリーナでのコンサート、今年は世界ツアーの発表もあったしアルバム売り上げも日本一になったキラキラしていてキャーキャー言われるというポジションに上り詰めた星野源でも、エッセイを読んでいると「全然そんなことないな」というくだらない(褒め言葉)エピソード、人間らしさが伺える。まだ途中なのだがすでに面白いので結構な速度で読んでいる。こうしてブログに文を打とうと思ったのもこのエッセイをさっき読んでいたからだ。星野源ほどの輝かしい経験なんぞないまだまだ未熟大学生漫画家もどきだが、とてもブログを書きたくなった。ただ今日あったことを打っているだけだがもうそれなりの文章量である。これがレポートだったら楽勝なのにね。星野源は最近になってめちゃくちゃ綺麗な顔立ちになっていて一昔前の写真をみるとびっくりするが、そんな今のかっこいい姿の中に「闇」のような部分を感じると私はちょっと嬉しくなってしまう。どうしても、どこかに「闇」とか「陰」のようなものを抱えている男が好きなのだ。今まで好きになった男が全員そうとは言わないが、どこか幸薄そうにしている姿になぜか惹かれてしまう。私も幸薄そうな顔をしているからだろうか。いや、知らん。でも惹かれることは確かだ。良くも悪くも人間らしい人が好きなのだ。
タリーズコーヒーでカフェラテを飲みながら星野源のエッセイを途中まで読んで部屋に帰る。駅から部屋に戻る途中、学校帰りの学生の波に抗いながら頭の中で何を書こうかずっと考えていた。いっぱい出てきたけどここに打っている文章は頭に出てきた中の何割ほどだろう、5割くらいだろうか。頭の中で自分語りをしているとあっという間に部屋につくことがわかった。今後駅から部屋に戻る約15分~20分の間は脳内ラジオ番組でもしていようと思う。
2019.0920